忘れがちなこと

忘れがちなこと

投稿者:藤和 [home]

長い間北大陸で探索を続けていたジニー一行。
その四人と、共に星のメガリスを踏破したミーティアがワイドの酒場に集まっていた。
理由は、そろそろジニーの祖父、ウィルの寿命も尽きようとして居るので、皆で見送ろうと言う事だ。
酒場で落ち合い談笑する五人。
「皆さんお久しぶりです。あれから随分経つんですね」
「ミーティアもホント久しぶりだよね。元気してた?」
ミーティアとジニーが軽く挨拶を交わし、酒を注文する。
運ばれて来た酒を飲みながら、ロベルトが感慨深そうに言った。
「ジニーちゃんがタイクーンになってもう大分経つよな。
こっちの方でも有名人なのかな?」
「そう言えばノースゲートではもう有名人だものね」
ロベルトとプルミエールの言葉に、ミーティアは嬉しそうに返す。
「ジニーちゃんの名前はヤーデの方にまで届いてますよ!」
それを聞いたジニーは照れ笑いを浮かべる。
「なんか照れるなぁ。そんなに有名ってなると」
ジニーの言葉に皆笑みを浮かべる。
ふと、ロベルトが言った。
「ジニーちゃんがそんなに有名って事は、俺も有名なのかな?」
皆突如としてきょとんとした顔になる。
「え?なんでロベルトさんが?」
疑問を浮かべるミーティア。
ロベルトはそれに答える。
「あのさ、俺もディガーでタイクーンって事になってるんだけど…」

忘 れ て た 。

「あの…みんなもしかして忘れてた…?」
突如微妙な雰囲気になった四人に、ロベルトがおずおずと声を掛ける。
微妙な空気を吹き飛ばそうとしたのか、ミーティアがこんな事を言った。
「タイクーンロベルトって、なんかお笑い芸人見たいですよね」
「ミーティア!それは酷い!せめて忘れてただけにしてあげて!」
「…プルミエール…やっぱ忘れてたんだな…」
項垂れるロベルトを余所に、ふと思い出したようにグスタフが言う。
「そう言えば星のメガリスを見つけた時…
メガリスを見つけたのも、エーデルリッターの消息を掴んだのもロベルトだったな。
よく考えたらジニーは何もしてなかったな」

忘 れ て た 。

再び皆の表情が固まる。
「ん〜、まぁ、確かにあの時私何もしてなかった気はするけど…」
しどろもどろながらジニーが視線を泳がせる。
「本来なら有名になるべきはロベルトだったって事かしら」
「なんで私の方が有名になったんだろ。不思議」
益々ぎこちなくなる雰囲気を撃ち破ろうと、ロベルトがミーティアに話しかける。
「そう言えばヴァン先生最近どうしてるんだ?元気か?」
それを聞いたミーティアは、きょとんとした顔で答える。
「あれ?皆さんにヴァン先生が亡くなったって言うお手紙送りませんでしたっけ?」
ミーティアの言葉にロベルトが固まる。

忘 れ て た 。

「そう言えば俺の所には来てたな」
グスタフが深い溜息をついて言う。
一堂沈鬱な表情。
懲りずにそれを撃ち破ろうとロベルトが声を上げる。
「みんなそんな暗くなるな!折角サガフロ2十周年なんだし祝おうぜ!」
「身も蓋もないこと言ったな。今」
グスタフのツッコミにもロベルトは動じない。
十周年という言葉を聞いてジニーとミーティアの表情も明るくなる。
「そうだね、お祝いだ!」
「今日は明るく行きましょう!」
ふと、何やら考え込んでいる様子だったプルミエールが顔を上げて言う。
「サガフロ2十周年と言う事の陰に隠れて忘れてるかも知れないけど、今年サガシリーズそのものが二十周年よ」

忘 れ て た 。

†the end†

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投稿者:ガルーダ(実行委)

>サガフロ2十周年と言う事の陰に隠れて忘れてるかも知れないけど、今年サガシリーズそのものが二十周年よ
忘 れ て ま し た。
サガフロ2十周年しか頭にありませんでした;
小説の見事な流れに感服です。思わず「あ・・・」って口に出してしまいました^^;
・・・サガシリーズ20周年おめでとう!

投稿者:藤和 http://www5b.biglobe.ne.jp/~icy/

コメント有り難うございます。
私も友人に突っ込まれるまでサガシリーズが二十周年だと言う事を忘れていました。
それで、こんな話を書くに至ったのです。
正確にはサガシリーズ二十周年は今年の十二月頃なのですが、多少早くても良いですよね。